お香とお線香の違いは?葬儀社が教える意味や選び方、マナー
ご自宅のお仏壇や、お墓参りで何気なくあげているお線香。煙と香りが立ち上る光景は、私たちの暮らしに溶け込んだ供養の形です。
しかし、なぜお線香をあげるのか、その本当の意味を考えたことはありますでしょうか?また、「お香」と「お線香」は何が違うのだろうと、ふと疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、皆様のそんな疑問にお答えすべく、お香とお線香の役割や意味、そしていざという時に迷わないための選び方やマナーについて、私たち株式会社おおのが日々の経験を交えながら、丁寧に解説いたします。


なぜお香を供えるの?3つの大切な意味
仏事においてお香を供えるという行為には、仏教の教えに基づいた、大変深く、そして優しい意味が込められています。
- 仏様や故人の食事
仏様や亡くなられた方は、食べ物を直接口にする代わりに、香り(香食:こうじき)を召し上がるとされています。良い香りを届けることは、故人さまへの最高のおもてなしであり、感謝を伝える大切な供養の一つです。 - 心身と空間を清める
お香の清らかな香りは、私たちがいる空間の隅々まで行き渡り、邪気を祓い、場を清めると言われています。それと同時に、お参りする私たち自身の心身の穢れも清め、仏様や故人さまと心静かに向き合うための準備を整える役割も果たします。 - あの世への道しるべ
立ち上る一本の煙は、この世とあの世(極楽浄土)を繋ぐ道しるべになるとも言われます。煙に乗って、私たちの感謝や祈りの気持ちが故人さまのもとへ届き、また故人さまがあの世で迷われないようにと願う、大切な意味が込められています。
「お香」と「お線香」の違いとは?
この二つの言葉は混同されがちですが、厳密には少し違いがあります。
- お香(おこう)
香りを放つものの総称です。ご葬儀で使う粉末状の「焼香(しょうこう)」や、印香、練香など、様々な形状のものが含まれます。主に香りを楽しむ、空間を清めるといった目的で使われます。 - お線香(おせんこう)
お香の中でも、私たちが最もよく目にする棒状(スティック状)のものを指します。火が燃え進む時間が安定しているため、時間を計る意味合いもあり、日常のお勤め(お仏壇へのお参り)などで使いやすいように作られています。
【おおのの視点:場面による使い分け】
私たち葬儀社は、場面によってお香やお線香を使い分けます。例えば、ご葬儀の儀式では、粉末状の「焼香」を用いて、より丁重に故人さまをお送りします。一方、ご自宅で毎日手を合わせる際には、煙が少なく香りも穏やかな「お線香」をおすすめすることが多いです。目的や場所に合わせて、最適な形があるのです。
お線香の選び方
いざお線香を選ぼうとすると、種類の多さに驚かれるかもしれません。選ぶ際に大切なのは、故人さまを想うお気持ちです。
- 香りで選ぶ
白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)といった伝統的な香木(こうぼく)の香りは、心を落ち着かせてくれます。一方で、最近ではラベンダーや桜、白梅といったお花の香りや、コーヒーの香りなど、現代のライフスタイルに合わせたお線香も人気です。故人さまが好きだった香りを選ぶのも、素晴らしいご供養の形です。 - 煙の量で選ぶ
最近の住宅事情に合わせて、煙の少ない「少煙タイプ」や、ほとんど煙の出ない「無煙タイプ」のお線香も増えています。マンションにお住まいの方や、煙が苦手な方でも安心してお使いいただけます。
【おおのの視点:大切なのは「想い」です】
お客様から「どのお線香が正しいのですか?」とご質問をいただくことがあります。しかし、お線香選びに厳格な決まりはありません。故人さまを「想う」気持ちが一番大切です。
お線香をあげる際の基本的なマナー
宗派によって細かい作法は異なりますが、ここでは共通する基本的なマナーをご紹介します。
- 火を灯す: ろうそくの火を使います。ライターから直接火をつけるのは避けましょう。
- 火を消す: 灯したお線香の火は、口で吹いて消してはいけません。手であおいで静かに消します。
- 香炉に立てる: 宗派の作法に沿って、香炉に立てます。(浄土真宗では立てずに寝かせます)
本数も宗派によって1本〜3本と異なりますが、もし他家様へお参りに行った際に作法が分からなければ、1本だけ立てるのでも失礼にはあたりません。
【おおのの視点:お仏壇のご相談も承ります】
新しくお仏壇をお迎えになる際、「うちの宗派では、どう飾れば…」と悩まれる方もいらっしゃいます。おおのでは、浄土宗の伝統に則った飾り方はもちろん、お住まいの環境に合わせたご提案も可能です。専門スタッフと連携し、皆様の想いに寄り添ったご供養の形をサポートいたします。
最後に
一本のお線香には、故人さまを敬い、感謝し、安らかな眠りを願う、私たちの様々な想いが込められています。その意味を知ることで、日々のお参りの時間が、より心豊かで、大切なものになるのではないでしょうか。
株式会社おおのでは、ご葬儀に関する儀礼はもちろん、お線香一本のご相談まで、皆様の疑問に真心を込めてお応えします。どうぞお気兼ねなく、私たちにご相談ください。