浄土宗の葬儀・仏事について|特徴や流れ、マナーを解説
ご葬儀に参列すると、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」というお念仏を耳にすることが多いのではないでしょうか。このお念仏を唱えることを最も大切な修行とするのが、日本の仏教界で大きな位置を占める「浄土宗(じょうどしゅう)」です。
いざ浄土宗のご葬儀に参列する、あるいは喪家として執り行う立場になった際、その教えや作法についてご存じないと、戸惑うこともあるかもしれません。
この記事では、浄土宗がどのような教えを持ち、どのような歴史を辿ってきたのか、そしてご葬儀や仏壇の飾り方の特徴について、私たち株式会社おおのが日々の業務で得た知見を交えて分かりやすく解説いたします。


浄土宗の基本的な教え
浄土宗は、平安時代末期に法然上人(ほうねんしょうにん)によって開かれました。その教えの中心は、阿弥陀如来(あみだにょらい)という仏さまです。
浄土宗の教えでは、阿弥陀如来が創られた清らかな「極楽浄土」に往き生まれること(往生)を目指します。そのためには、難しい修行や学問が必要なのではなく、ただひたすらに阿弥陀如来の救いを信じ、「南無阿弥陀仏」と心からお念仏を唱えることが最も大切だとされています。
「南無阿弥陀仏」と唱え続けることで、私たちの心と体は清らかになり、豊かな人生を生き抜き、亡くなった後には極楽浄土に往生して仏になることができる、というのが法然上人の教えです。
さらに、浄土に生まれた後も、仏として再びこの世に戻り、まだ救われていない人々を救うことができるとされています。誰もが平等に救われることを説く、慈悲に満ちた宗派なのです。
【おおのの視点:お念仏が創り出す一体感】
実際に浄土宗のご葬儀に立ち会うと、ご住職のお導きで、ご遺族や参列者の皆様が一体となって「南無阿弥陀仏」をお唱えする場面が幾度もあります。その空間には、故人さまの冥福を祈る温かい気持ちが満ち溢れ、厳かな中にもどこか救われるような、安らかな気持ちになるのを感じます。
よく読まれる経典と総本山
- 経典: 「観無量寿経」「無量寿経」「阿弥陀経」の3つが特に大切にされ、「浄土三部経」と呼ばれます。
- 総本山: 京都にある知恩院(ちおんいん)が浄土宗の総本山です。
- 七大本山: 総本山に加え、増上寺(東京)、知恩寺(京都)、清浄華院(京都)、金戒光明寺(京都)、善導寺(福岡)、光明寺(神奈川)、善光寺大本願(長野)が七大本山として知られています。
宗祖・法然上人と浄土宗の歴史
浄土宗を開いた法然上人は、1133年に現在の岡山県でお生まれになりました。幼くして父を亡くし、その遺言に従って仏門に入ります。
若くして比叡山に登り、25年もの間、人々が救われるための真の道を探し求め、苦悶しながら修行に明け暮れました。そして43歳の時、中国の高僧・善導大師の「一心に阿弥陀仏の名を称えれば、誰でも極楽往生できる」という教えに出会います。この「念仏往生」の思想こそが、法然上人が見出した救いの道であり、浄土宗の開宗へと繋がりました。
「お念仏を唱えるだけで救われる」という教えは、これまで厳しい修行ができないと救われないとされてきた民衆の間に、瞬く間に広まっていきました。しかし、その革新的な教えは旧来の仏教宗派から強い反発を受け、弾圧の末に讃岐(現在の香川県)へ流罪となってしまいます。
後に許され京都へ戻った法然上人は、現在の知恩院の地で80年の生涯を閉じました。その教えは多くの弟子たちによって受け継がれ、今日まで広く信仰されています。
【おおのの視点:地域に根差した宗派】
法然上人の分かりやすい教えは、民衆の間に広く深く浸透しました。そのため、私たちが事業を行うこの栃木県鹿沼市周辺でも、浄土宗は大変馴染み深い宗派の一つとなっております。ご先祖代々、浄土宗というご家庭も多くいらっしゃいます。
浄土宗のご葬儀について
■ご葬儀の流れと特徴
浄土宗のご葬儀は、故人さまが阿弥陀如来のお導きによって、無事に極楽浄土へ往生できるように執り行われます。儀式の様々な場面で「南無阿弥陀仏」のお念仏を参列者全員でお唱えするのが大きな特徴です。
また、『下炬引導(あこいんどう)』という、たいまつ(現代では形代)をかざして故人さまを浄土へ導く儀式も行われます。これは、故人さまの人生を讃え、迷うことなく仏さまのもとへ旅立てるようにとの願いが込められた、非常に大切な作法です。
■お仏壇の飾り方
ご本尊である阿弥陀-如来を中央にお祀りするのが基本です。正式には、向かって右側に観世音菩薩、左側に勢至菩薩を配します。さらにその外側に、観世音菩薩の隣に善導大師、勢至菩薩の隣に宗祖である法然上人をお祀りします。
ただし、お仏壇の大きさによっては、観音・勢至の両菩薩を省略することもあります。
【おおのの視点:お仏壇のご相談も承ります】
新しくお仏壇をお迎えになる際、「うちの宗派では、どう飾れば…」と悩まれる方もいらっしゃいます。おおのでは、浄土宗の伝統に則った飾り方はもちろん、お住まいの環境に合わせたご提案も可能です。専門スタッフと連携し、皆様の想いに寄り添ったご供養の形をサポートいたします。
最後に
浄土宗は、「南無阿弥陀仏」と唱えることで、誰もが阿弥陀如来に救われるという、非常にシンプルで温かい教えを持つ宗派です。ご葬儀の形式や作法も、この教えに基づいています。
私たち株式会社おおのでは、浄土宗をはじめ、あらゆる宗派のご葬儀に対応しております。長年の経験を持つスタッフが、ご遺族の心に寄り添い、真心を込めてお手伝いさせていただきます。何かご不明な点がございましたら、どのようなことでもお気兼ねなくご相談ください。